宝塚ひとこと日記

宝塚について、簡潔明瞭に

ベルリン、わが愛 2017年 星組

 可愛いは、正義。

 その言葉を、あーちゃんを見ているとつくづく思う。そんなあーちゃんとゆずるさまが、出会った瞬間恋に落ちるお話なのかな、と思っていましたが、ちがいました。

ラストまで、ゆずるさま、あーちゃんそれぞれがちゃんと自分の力で問題を解決しようとし、その上で仲間や自分たちの希望を守る為新天地に旅立つ。そこではじめて、互いの恋愛感情を伝え合う、というのがとても良いな、と思いました。テオとジルの二人だけの為の物語ではなく、映画を愛するひと、ナチスという影に覆い隠されそうな希望を守ろうとするひとみんなのお話だったように感じます。

 私は歴史資料でしか、ナチスの行なった行為は知る機会はありませんが、はるこちゃん演じるレーニの行動が、印象的でした。自分の嫉妬心を紛らわせるために、ジルがユダヤ人であることを、伝える。差別ということは、何か心に黒い感情を持っているひとに、それを行なっても良いのかもしれないという大義名分を与えてしまうのかな、と。ひとりひとりの行動は小さいものかもしれませんが、気づいたときには、それが国として引き返せない状況に陥る要因となるのかもしれません。そういう、静かにやってくる誤った道の怖さを、感じました。だからこそ、映画で人々を笑顔にしたいという希望と、ゆずるさまがあーちゃんに言わせた台詞がとても輝いてみえて、そうなんだよ、やっぱり愛なんだよ!と、原田先生と握手をしたい気持ちになりました。ありがとう、原田先生!

 そのようなことを踏まえた上での、テオとジルのハッピーエンドだったので、エンドロールなのだけれど、またタイトルロールが始まるような楽しさがあったのも、また素敵でした。

 あと私、カチャさんを舞台で観たのが初めてだったのですが、ものすごい骨太な感じなんですね。お役がそういう役だったこともあると思うのですが、もっとスマートで繊細な感じなのかと勝手に思っていたので、びっくりでした。いやあ、素敵でした。


 ショーはね、始まった瞬間、ああ、ゆずるさまがファラオになられた…と、拝みそうになりましたよね。赤い薔薇の場面は、本当に拝んでいた。素敵すぎて。ゆずるさま✖️薔薇の方程式は、ほんとだめだと思う。劇団さん、もっとやってください。

みねりちゃんのエトワールは、本当に素晴らしくて、天に届くような歌声って、こういうことなのかなあと、また拝んでいた。東京宝塚劇場の怪人に、見つかってしまう。私のみねりちゃんが。みねりちゃんのクリスティーヌが、観たいなあ、観たいなあ。劇団さんならやってくれると、私、信じてる。