宝塚ひとこと日記

宝塚について、簡潔明瞭に

エリザベート 2014年 花組

ゆずるさまの巴里祭をうけて、友人にラインをしました。

「私はゆずるさまと、パリに行きます」と。

まだ、劇団さんのHPを見ていなかった友人は、数時間後、パリって、巴里祭のことかー! と、返事をくれました。

「そうだよー、そんな理由もなく、ゆずるさまとパリに行くなんて言わないよう」

「いや、カエなら、言うかなって…」

仲の良い友人でも、大きな誤解を抱いていることがあるようです。

いわんや、エリザベートなど。

そうです、私はエリザベートについて大きな誤解をしていたようです。

エリザベートとゆうタイトルロールになり、イケメントート閣下に求愛される女性なのだから、とても魅力的な人物なのだと。

でも、初めてきちんとエリザベートをみた感想は、エリザベートより、みりおさまトートの方が、秘めたる想いを抱く(秘めてないけど)乙女に見えましたよ…?

だって、しょっぱなから、初夜のあと、乗馬したい! ですよ? ゾフィーじゃなくても、訳が分からなくなりますよ。それを、却下され私には自由がないと言われても、いや、あなた、国のトップに立つひとの配偶者になったのよ? 一般人みたいに、「ちょっとキャトルに行って、ゆずるさまとゆりかちゃんのお写真買ってきます❤️」なんてできないから。と、もう私、あなたが理解できないので離婚しますと、言いたくなりました。

その為、初回スカステは、全くエリザベートの言動が理解できず、これは、どこがトート閣下と、エリザベートの愛の物語なのか分かりませんでした。ただ、舞台としては、どの曲も素敵だし、みていてすっごく面白い! と思いました。あと、みっちゃんフランツの、包容力ね…、素敵すぎる‼︎

そして、このエリザベート個人に対するもやもやを払拭したいぞ! と思い、頭をできるだけからっぽにして、二回目スカステ。ぼんやりですが、私なりの解釈が、見えてきました。ので、備忘録。

まず、これは、トート閣下と、エリザベートの愛の物語だと定義します。トート閣下は、エリザベートを、すきなことは、よくわかります。みりおトート閣下の、乙女っぷりに、きゅんきゅんします。そして、エリザベート。彼女は、シシィと呼ばれていた頃から、ずっと自由を渇望しています。素直に、純粋に、まっすぐに。何かに囚われている立場のフランツや、トート閣下が、その自由な精神に魅かれるのも、よくわかります。暗闇の中で光る星は、ほんとうにまぶしいから。

だけど、彼女はフランツと結婚するという選択をしたことで、その自由を一旦は奪われます。だけど、子供の頃とは違う、はっきりとした自我を芽生えさせたうえで、自由に生きる、私はなににも囚われないと決めるのです。

これは、私の考えなのですが、自由って、本当になんにもないことではないと思うんですね。家族とか、恋人とか、友人とか、そういういつでも安心して帰ることのできる場所があってこそ、自由を求めるのではないかと。自由と、孤独は、違うと思うのです。だから、エリザベートが、フランツや、そしてあんなにも自分の手で育てたい、と切望した子供たちを置いて旅にでたことは、彼らが彼女の帰る場所ではなかったのではないか? と感じたのです。では、誰が一体エリザベートの自由を、許し、愛せる立場にあったのか?

それは、本来であれば、トート閣下なのではないかと。彼女を生き返らせ、お前はおれと踊る定めなどという、そんなことみりおさまトートに言われたら踊ります、私、踊りますから! としか言えない美貌と迫力をもつトート閣下だったのではないかと。

「私だけに」で、命だけは預けはしないと歌っていますが、その根底にあるのが、記憶にはなくとも、命を助けてくれたトート閣下との目には見えない繋がりがエリザベートの人生にあるのだとしたら、ラストもむちゃくちゃ納得がいくし、すごい恋愛物語だな、と思うのです。ずっと自分の中にあった、それこそ命を預けた大切なひとと、結ばれるのですから。

だけど、今回のエリザベートは、トート閣下への愛どころか、自分の夫や子供に対する愛情さえ、見えなかった。あるのは、強烈な自己愛だけ。その為私には、ただエリザベートが、自由、自由、と叫んでいる我儘な人間にしか思えなかった。そしてエリザベートが、そう感じられるがゆえ、逆説的に、トート閣下のにじみでる切ない恋心と、フランツの包容力と優しさ、ルドルフのなんともいえないもどかしさが浮き彫りになっていたような気がします。トート閣下はねー、もう、美味しいパンケーキを食べさせながら、元気付けてあげたくなっちゃいますよね。庇護欲をそそる黄泉の帝王…、良いではないか! エリザベートに拒絶されたあとの、あの表情は、すごいですね。雨の中の、仔犬さんみたいで、トート閣下…! となります。

ただ、これはあくまでも今回の花組さんをみた素人の感想なので、他の舞台をみたら、また違った感情が生まれるかな、と楽しみです。みりおんシシィが、より楽しみになりました! あと、まあさまトート閣下と、ゆりかちゃんフランツね…。ゆりかちゃんフランツだったら、扉なんぞ閉めず、むしろゆりかちゃんのお部屋に入り浸りになりますよねえ。朝5時にだって起きて、ゆりかちゃんにお味噌汁作りますよ!←それ、ちょっと文化がちがいます


それと、すっごい面白いなあと思ったのが、ダンスを踊ってみたり、医者になってみたりと、トート閣下…? と肩をぽんぽんと叩きたくなった闇の帝王と一緒に、八面六臂の活躍をしていたルキーニさん。すごいですよね、あのお役。舞台上の指揮者って感じで、ぐいぐいとエリザベートとゆう、お話を切り開いていく。だいもんさん、すごいですね。あんなに美しいお顔なのに、良い感じにいっちゃってて、すっごい難しいお役だろうに、ほんとにルキーニというひとが、舞台を操っている感じ。とてもだいすきです!

あとは、自分の思考の大切さ。多分、エリザベートは、トート閣下ではなく、「私は自由ではない」という思いに囚われていた気がする。視界を広げれば、自分を愛してくれる夫も、子供もいたのに。気がつけば、良かったのに。考え方ひとつ、世界の見方ひとつで、可能性は無限に広がるのに。

しかも、次の宙組さんエリザは、ゆりかちゃんが旦那ですよ! 旅に出ている場合じゃないですよ! 常に、ゆりかちゃんにくっついていないと、お話になりませんよ! 愛が広がりまくりますよ! え? お話の趣旨が、ずれる? 良いのです、愛は全てを超越するのです。きっと、小池先生がなんとかしてくれます。

とゆうことで、歌劇をよみます‼︎